「天使の梯子」(はてな年間100冊読書クラブ 22/100)

天使の梯子 Angel's Ladder

天使の梯子 Angel's Ladder

昨年末に読んでインパクトのあった「天使の卵」の
続編という位置付けの本ですね。(「天使の卵」の感想は↓)
http://d.hatena.ne.jp/yukino77/20051220/p2
私の場合は、前作の印象がまだ鮮明に残っている間に
続編を読めましたけど、実際には「天使の卵」と
天使の梯子」の発行間隔は、数年間あったようです。
そして前作は悲しい結末でしたけど、
その前作のキャラに対して、フォローのような感じで、
今回は見事に救われる結末が用意されています。
従って、前作のファンだった人には
好評な続編と受け止められるのではないでしょうか。
私も今回はスッキリと、満足出来たって感じです(笑)
逆に前作を知らないと、腑に落ちなさそうな気がします‥

  • 姉と同じく年下の彼氏を持って、姉の気持ちを追体験して

春妃の死から時が経っているのに、未だに立ち直れないままの
春妃の元カレであり前作の主人公の歩太と春妃の妹の夏姫ですが、
そんな夏姫の前に、嘗ての教え子の慎一が現れます。
慎一と夏姫の年の差が8歳、女性のほうが年上という状況も
当時の歩太と春妃の関係と同じですから、
夏姫は慎一とつきあうことによって、
姉・春妃が歩太を愛した気持ちが解って来る、
という追体験状態になっていますね。
まぁ姉に恋人を寝取られたとはいえ、夏姫は当時
「一生恨んでやる」という
厳しい言葉をぶつけていますから‥(^^;)

  • 年下だから「自分が物足りない」と思ってしまって‥

しかし夏姫は相変わらず歩太と連絡を取り合っているため、
それを慎一が邪推してしまいます‥ってまぁこれは
仕方の無い感情って感じでしょうか(^^;)
自分のほうが8歳も年下とあれば、
ただでさえ「自分の事が物足りないのでは」と
邪推してしまいますからね。でも、慎一が夏姫の携帯のメールを
勝手に見てしまうのは、宜しくない所業だと思いました。
まぁ、メールの送受信履歴から浮気がバレる、
ということは、今では実際にもよくあるパターンですけどね(笑)
慎一も両親の離婚で祖母に預けられて育ち、
愛情に飢えているところもある、という設定でしたけど。

  • 慎一が結果的に触媒となった、という感じカナ

祖母に酷い事を言ってしまい、
謝れないまま祖母が死んでしまった慎一
この状況は↑の「お姉ちゃんなんか〜」の夏姫と同じ状況ですね
慎一のほかにも、歩太と夏姫ももちろん
後悔というか負い目を抱えています。
歩太と夏姫は、その後悔の念に
今までずっと囚われてしまっていて先に進めませんでした。
しかし今回、慎一が登場し、その若さを武器にした格好で
思いっきり突っ走った行動が
結果的に全員に対して吉と出たという感じですね。
前作を知っていると、慎一が歩太のことを
夏姫の彼氏と勘違いして近づいて行くシーンは
思わず苦笑ものなのですが‥(^^;)

  • 最後は全員スッキリとハッピーエンド

最後は歩太・夏姫・慎一それぞれが、
自分の中でそれぞれの後悔の念に、終止符を打つ事が出来ましたね。
これ(後悔や負い目といった気持ちに、終止符を打つ)が
今回の作品のテーマというところでしょうか。
個人的には、前作の悲しい結末に、見事なフォローを
してくれたので「作者に感謝」という感じですね。
現実の世界は思い通りにはならない事が多いからこそ、
「せめて本の中の世界では、ハッピーエンドを見ていたいな」
というのが、私の主義なので‥(^^;)