「萌える男 」(はてな年間100冊読書クラブ 12/100)

萌える男 (ちくま新書)

萌える男 (ちくま新書)

  • オタクの著者による、「萌え」現象の分析

先日の「オタク市場の研究」に引き続き、
オタク関係を取り扱った本ですが、「オタク市場」の野村総研とは違って
この本は著者の本田透氏自身が筋金入りのオタク、ということもあり、
自身の経験を元に(笑)主に社会学的な見地から
「萌え」について分析している本ですね。
そのため、「萌え」について、マスコミによく見られるような、
例えば宮崎勤事件に関連させるような否定的な扱いはせず、
オタクは「萌え」に走ることによって、自らの衝動(ルサンチマン)を
他人には無害の状態で開放している、
という点で「萌え」を肯定的に捉えていますね。
普段虐げられていることの多いオタク層にとっては、
格好の援護が現れたって感じでしょうか(笑)

この本の中では、援助交際など、
恋愛が商品化してしまっている近年の過程を、「恋愛資本主義」と定義し、
その「恋愛資本主義」に縁の薄い人達が(ぉ
空想の世界に癒しを求めて、「萌え」文化が発生したとしていますね。
そして、昨年の「電車男」ブームについては、
恋愛資本主義側の上位層である美女のエルメスが、
恋愛資本主義に背を向けていたオタクの主人公を
恋愛資本主義の側に引き上げている内容である、
(=恋愛資本主義に毒されている)という感じで批判していますね。
また、「萌え」現象の実例として、ゲームやアニメの内容を
詳しく書いているのも、さすがはオタクな著者だなって感じがします‥(^^;)
その筋では有名な(笑)「One〜輝く季節へ〜」や「Kanon」などですね。
でも、このあたりの各種ゲーム内容の詳細な記述は、
これらのゲームをプレイ済みの同類のオタクな人々しか、
読んでいても理解出来ないのではないかと思います。
その点で、この本が一般向けでは無くなってしまっていますね。
ただ、私は理解出来てしまったのが、ちょっとアレですけど‥(^^;)