「競馬よ!―夢とロマンを取り戻せ」(はてな年間100冊読書クラブ 8/100)

競馬よ!―夢とロマンを取り戻せ

競馬よ!―夢とロマンを取り戻せ

日本経済新聞社の競馬記者・野元賢一氏が、
現在の競馬の問題点を指摘・例示している本ですね。

この中で特に印象に残った点は、地方競馬について書かれた部分でした。
地方競馬の実態は、私が思っていた以上に深刻のようですね。
売上の減少→賞金の減少→馬主が離れるといった
悪循環に陥ってしまっており、調教師が実質は馬主も兼ねている
という違法状態でなんとか回っている状況だそうです。
リストラが失敗し、上記のような状態では
コンテンツも劣化してしまっており、
もはや先行きは暗そうですねぇ‥
本の中では、中央競馬地方競馬を、プロ野球セ・リーグ
パ・リーグに例えており、球界再編の流れに重ねて
地方競馬パ・リーグ)はもはや立ち行かなくなっている、
と結論づけていますね。

  • 競馬は「難しすぎる?」

また、公営ギャンブルの衰退の原因として、
競馬や競輪などのギャンブルは「難しすぎる」ため、
若者がパチンコやパチスロに流れている、
という記述もありました‥(^^;)
確かに競馬などは、ある程度知識が無いと
(最初は先達に教えて貰わないと)取っ掛かりが悪いですよね。
その段階を過ぎると、今の私みたいにハマってしまい(^^;)
競馬の開催されている週末だけではなく、
平日も競馬の情報を一生懸命集めたりしますけど(笑)
そういう段階に至らないと、良くわからないまま、
やめてしまう人も多そうですね。
私にとっては、全くの運任せの宝くじよりは
自分で考えて決断する競馬の方が
圧倒的に面白いと思えるのですが。

  • 若年層の取込が重要

最近では携帯電話から馬券が買えたりと、
馬券を買う状況は便利になっているのですが、
若者層の参入は、調査から見てみると
明らかに少なくなっているそうですね。
昨年のディープインパクトブームで
若者ファンは少しは増えたのでしょうか‥?
若年層を取り込めないと、将来的には先細りになってしまうのは
間違いないですからね‥まぁそのためにJRA
SMAP中居正広さんをCMに起用したりして
若者向けのイメージ戦略を打ち出していますね。
まぁ、高額配当などの射幸心を煽るCMは打ち出し辛い、
という事情もあるそうですが。

  • 現在の中央競馬が抱えている問題を、的確に取り上げていますね

この他に取り上げられているテーマでは、

    • JRA内部の構造問題(お役所的仕事)
    • 外厩制度の申し子であるが故に外厩制度に縛られてしまい、中央移籍が出来ないコスモバルクの不幸な馬生、
    • 馬産地では社台グループが一人勝ち
    • 外国人・地方騎手の中央競馬への参戦が本格化して、優勝劣敗が強まり、新人騎手が苦戦している

上記のように、現在の中央競馬が抱えている問題が、
多く取り上げられていますね。その問題に対する、
著者の指摘内容も的を得ていると思います。
まぁ現状に対する指摘が中心で、その問題に対する解決策とかは
あまり提示されていなかった気がしますけど‥(^^;)
ハルウララ」など今では旬の過ぎてしまった話題もありますけど、
あと暫くの間は有益な本ではないでしょうか。