「国家戦略からみた靖国問題―日本外交の正念場

」(はてな年間100冊読書クラブ 73/50)

  • 靖国問題だけを取り上げているのではなく‥

元外交官の著者が、新聞や雑誌に寄稿した記事をまとめた本ですね。
記事をまとめた本なので、テーマ毎にまとめてあるとはいえ、
全体的な繋がり等には欠けますな。
また、靖国関係だけではなく、朝鮮半島・台湾情勢や
自衛隊イラク駐留の是非等、幅広い話題を扱っており、
靖国問題もボリューム的にはそういったテーマの一つって感じですから、
本の題名に敢えて「靖国問題」と付けるのはいかがなものかと思います。
その「靖国問題」に関して著者は、
「戦争の恨みつらみは50年で消える」として、
以前は靖国神社公式参拝を行っても、
中国や韓国は何も言ってこなかったそうですね。
その中韓を炊き付けたのは、
朝日新聞に代表される日本の左翼だったとか‥(T_T)

  • 外交の基本は「日米同盟」

ただ、著者の主張は、全体を通して
「日本は、今後ともアメリカとの協調を深めていくべきである」
という点で一貫しており、ブレは無いですね。
「日本が平和を享受出来ていたのは、戦前の日英同盟
戦後の日米同盟を結んでいた時期である」というところは、
そういえばなるほど言えているな〜という感じがしました。
あと、外交は世論に影響を受けやすいため、
外交官としては、なかなか苦労されている様子も窺えました。
世論が盛り上がった例としては、古くは戦前の日露戦争講和反対、
そして最近では北朝鮮の日本人拉致問題ですね。
愛国心が低いと言われている日本国民も、
こうしてみると意外とナショナリズムはあるんだな、
という感じがしました。