「恋愛寫眞」(はてな年間100冊読書クラブ 63/50)

恋愛写真―もうひとつの物語

恋愛写真―もうひとつの物語

  • 市川拓司さん作の「せつない愛の物語」

以前映画で公開された「恋愛寫眞」の原作というか、
共作という位置づけで「いま、会いにゆきます」の
市川拓司さんが新たに書き下ろした作品だそうですね。
私は映画は見ていないので、新鮮な気持ちで読む事が出来ました。
恋に鈍感な(というか自分の魅力に気づいていない)
大学生の男の子(誠人)と、
その男の子に思いを寄せる個性的な女の子(静流)、
そして男の子が恋している女の子(みゆき)の三人が織りなす
少しせつないラブストーリーって感じでしたね。
読んでいて思わず最後は涙してしまいました‥(^^;)
原作映画も見てみたいと思いました。
今度の週末にでも、ビデオ借りて来ようかなと思います。
しかし、純愛といえば、以前から気になっていた
(一種の片想い状態だった)女の子の左手の薬指に
指輪を見つけて、少しショックを受けたなぁ、
などと思い出したりして‥(^^;)

  • 個性的な女の子の行動が微笑ましくて‥(^^;)

序盤から静流の言動が、普通の女の子とはかなり違っていて
子供っぽいところがあるため、読んでいて面白いというか、
静流という人物の人となりに引き込まれるものがありますね。
静流は誠人の事が好きになりますけど、
(これが静流の遅い「初恋」だそうです)
上記のように誠人はみゆきの事が好きなため、思いは成就しません。
しかし静流はそのみゆきに近づいていったりしますね。
「好きな人の好きな人を好きになりたかった」
ということだそうですが、
このセリフは静流の純粋すぎるところに
胸がキュンとなるシーンでしたな。
あと、誠人とみゆきがふとしたきっかけで
「デート」をすることになった時の、
静流の行動はせつなかったですね。デートの際の行動などを、
誠人に「指南」しますけど、実際に誠人がデートをしている時は
家に残って泣き続けたというところとか‥

  • ようやく両思いになれたと思ったら‥

写真という趣味を共有出来るようになったりして
(これは、静流が好きな誠人の趣味を
自分も好きになりたかった、という面もあるかと思います)
誠人も次第に静流の事を好きになっていきますが、
ようやく静流の願いがかなった「はじめてのキス」の後、
突然静流は姿を消してしまいます。
そして一気に「長いエピローグ」へと突入しますね。
実は静流は「恋をすると死んでしまう」という設定で
(ちょっと無理がありすぎるというか、
ファンタジック過ぎる、唐突な設定ですね(^^;)
序盤の静流の子供っぽい&奇抜に見える行動も、
この設定に由来していた、と言う訳です。)
そんな静流は恋に落ちてしまった自分の命が
もう長くないことを悟って、
誠人とみゆきの前から自ら身を引いた、という感じです。
「恋をすれば死んでしまう」と知っていながら、
誠人に恋をしてしまい、最初は実らぬ絶望的な恋でしたけど
その思いを捨てずに最後まで貫いた静流の行動が
とてもせつないって感じでしたね‥
死ぬのを予感した静流は、最後に自分の姿を
誠人に向けて写真として残しておきますが、
これがタイトルの「恋愛寫眞」の由来なんですね。

  • 大学生達の「友情」も良かったですね。

あと、メイン部分はもちろん恋愛シーンですけど、
誠人・みゆき・静流の周りを固めていた友達の
「友情」シーンもとても良かったと思います。
例えば、誠人は臭いのキツイ皮膚の薬を常用しており、
それをずっと友達には隠そうとしていましたが、
友人達は誠人のそんな思いを察して、気づいてはいたけれど
決してそのことに触れなかったりしたところとか。
こんな大学生同士の男女を越えた友情シーンというと、
少し前にテレビドラマで放映されていた、
妻夫木聡さん&柴咲コウさん主演の
オレンジデイズ」を思い出したりもしました。
いかにも青春って感じですよね〜(^^;)