「ルポ 諫早の叫び よみがえれ干潟ともやいの心」(はてな年間100冊読書クラブ 31/50)

ルポ 諫早の叫び よみがえる干潟ともやいの心

ルポ 諫早の叫び よみがえる干潟ともやいの心

標題通り、諫早湾干拓問題を取り上げた本ですね。
主に、地元漁民の反対を押し切って干拓工事を進める行政側の姿を
描いています。郵政民営化反対で今話題の(^^;)亀井静香氏が
「公共事業の見直し」を掲げて中止を決めた
島根県の中海干拓と同じような状況で、
(この頃は、亀井氏も「抵抗勢力」では無く、
むしろ改革派って感じですね(^^;))
日本人の食生活の変化によりコメ余りで
減反を余儀なくされる時代に、
もはや干拓なぞ必要ないと思われるのですが、
行政側は「防災のため」等の理由をつけて干拓工事を推進します。

  • 仕事場を奪われた漁民の悲哀と「もやいの心」

漁民側も座り込みをしたりして抵抗するのですが、
「損害賠償で訴える」と脅されたり、
補償金を供与することによって仲間割れを画策されたりして、
反対運動はバラバラになってしまいます‥
しかし、漁民は干拓によって漁が出来なくなり
(ってもっとも補償金は出ているのですが)
その結果、地元に出来た干拓を推進する会社で
働かざるを得ない状態になります。
かつては干拓に反対していたのに、
その干拓に関わる仕事をしないと生きて行けない‥
漁民にとってはさぞ無念のことだったかと思います。
ちなみに本の題名にもなっている「もやい」とは、
「人と人とを結びつける」という意味だそうですね。
仲間割れしてしまった漁民同士という「人と人」、
そして「人と自然」とを再び結びつける、
ということなのでしょうね。