明日への送りバント (はてな年間100冊読書クラブ 7/50)

明日への送りバント

明日への送りバント

巨人から中日に移籍して活躍を続けている、
川相昌弘選手の自伝本です。
犠打(バント)の世界記録保持者でもある川相選手だけあって、
内容的には派手なエピソードとかはありませんが、
川相選手の結構意外な面も窺えて、面白かったですね。
主なエピソードをあげると、

  • 川相選手は高校までは投手だった

これは結構意外って感じですね。
高校時代はエースで4番といった
万能選手が打力を買われて打者に転向する、
というケースはよくありますが、
川相選手は当時からバッティングは苦手で、
そのため転向も打力ではなく、
守備が買われて転向したようです。
このあたり、元来の素質も窺えますけど
(高校時代からフィールディングが得意で、相手打者になかなか
バントを決めさせなかった、という例もあります。)
プロ入りして以降に守備を本格的に鍛えて、
プロ野球一の名手と言われる域に達するのですから、
川相選手が努力の人だったというのが解るエピソードですね。

そんな川相選手の運命を決めたのは、
当時の藤田元司監督だったようです。
藤田監督は2番打者に「ランナーを薦める繋ぎ役」である事を求めており、
その意向を察知した川相選手は、バントの練習を重ね、
岡崎・勝呂といったライバル選手との競争に勝って、
レギュラーの座を手にしたそうですね。
一方で王貞治監督・長嶋茂雄監督は「攻撃的な野球」を目指しており、
長嶋監督就任後は2番打者の座も追われたりしましたから、
藤田監督がいなければ、川相選手も埋もれてしまった
可能性が高そうですね。

  • 川相選手はかなりの愛妻家(笑)

あとは、妻や子供を毎年球場に招待したりといった、
家族に関するノロケ文章も多く(笑)、
川相選手がかなりの愛妻家だという事が窺えますね。
笑えたのは、プロ入り時に「当時付き合っていた彼女(現在の妻)」に
「3年間待ってて欲しい」と言ったそうですが、
その事を後に妻に話すと、「当時は付き合っていたという意識は無い」と
言われてしまったとか‥(^^;)