「自然を巡る千年の旅」展

  • 万博開催の余得で‥

今日は、愛知県美術館で開かれている
「自然を巡る千年の旅」展に行って来ました。
今年は、「愛・地球博」が開催されている関係で、
愛知万博共催という感じで、この展示以外にも
今後も「ゴッホ展」など、結構見逃せない展示会が開かれます。
こういう万博の余得は有難いですね。
中部国際空港セントレア)の開港など、
交通機関も便利になりましたし(笑)
展示の内容は、「自然を巡る」のタイトル通り、
主に日本の絵画を中心とした芸術作品から、
自然をモチーフにしたものを集めて展示してありました。
事前にパンフレットを見た限りでは「水墨画ばかりなのかな」
と思いましたけど、歌川広重の代表作「東海道五十三次」のような
浮世絵もあったりして、実際には結構バラエティに富んだ展示内容で、
個人的には満足のいくものでした。
東京や京都の国立博物館から借りているものが多くて、
いずれもかなりの名品揃いって感じでしたね。
よくこれだけ集めたなと思いました。

まず見たいと思ったのは、雪舟の「天橋立図」でした。
今回の展示は前半と後半で展示内容が大きく入れ替わり、
天橋立図」は後期しか展示されないため、後期を狙って行きました。
しかし、改めて展示内容の一覧を見ていると、
前期には久隅守景の国宝・「夕顔棚納涼図屏風」が出品されており、
「これも見たかったな、前期も行けばよかったなぁ‥」
と少し後悔したりしました。一部の作品だけならともかく、
これほど前後期で展示内容が大きく変わるとは思っていませんでした‥
雪舟の「天橋立図」は、名勝・天橋立の様子を、
雪舟独自の視点から描いた水墨画の傑作で、
この作品がまた見られるとは思っていませんでした。
3年位前に、雪舟の没後500年記念の展示会が開かれており、
その時も見に行きましたけど、凄い人でじっくりとは見られませんでした。
しかし今日はそれほど混んでおらず、周りからのプレッシャーを
受けることも無く、思う存分鑑賞出来ました。
上手いのはもちろんですけど(^^;)、
まずは全体のイメージをダイナミックに捉え、
その後で細かいところを書き込んで行く、
こういったセンスはさすがだなという感じですね。

天橋立図」以外にも、古代の作品では、朝護孫子寺
信貴山縁起絵巻」や「法然上人絵伝」などの名品が出品されていました。
受験時代の日本史の資料集や、
日本美術史の本で見たことはある作品ですが、
やっぱ実際に本物を目にすると、また違う感動がありますね。
宝物を所蔵する各社寺や博物館に出かけても、
見られるとは限らないですから。
狩野派からは狩野秀頼の「高雄観楓図屏風」がありました。
こちらは紅葉を描いており、
水墨画とは違って華やかな雰囲気がありましたね。
しかし屏風は大きいので場所を取りますな‥(^^;)
展示室の一辺を占拠してしまうという感じです。
でも個人的には、水墨画の素朴さがお気に入りですね。
黒一色で色々な場面を表現する、画家の腕の見せ所って感じがして。
面白かったのは伊藤若沖の「果疏涅槃図」で、
バナナなどの果物で涅槃の様子を表現してあるそうです‥(^^;)
絵以外には、野々村仁清の茶壷などが展示されていました。
仁清は、テレビの「開運!なんでも鑑定団」で
有名になった傾向が大ですな‥(^^;) 私は陶芸はよく解りません(笑)

近代美術関係では、黒田清輝の「湖畔」がありました。
女性をモデルにした黒田清輝の代表作ですが、
最初書いた通り水墨画系を予想していたので、
近代美術の名品が見られるとは思わず、良い意味期待を裏切られました。
また、江戸時代後期には、渡辺崋山や谷文晁が、
国防も兼ねて日本の各地のスケッチを行った作品が展示されていました。
鎖国を実施しつつも、対外的な危険を察知して備えていたという、
当時の世相を感じさせましたね。