「そのときは彼によろしく」(はてな年間100冊読書クラブ 82/50)

そのときは彼によろしく

そのときは彼によろしく

  • 同じ著者の「恋愛寫眞」と同様、ファンタジックな仕掛けも

前回読んだ「恋愛寫眞」が面白かったこともあり、
また市川拓司さんの小説を読んでみました。
今回も恋愛モノ、ただ前作の「恋愛寫眞」と同じように、
一部ファンタジックなところもありましたね。
「夢に囚われて夢の中の世界に行ってしまう」
というところは、もうずっと昔にプレイしたPCゲーム
One〜輝く季節へ〜」を思い出してしまいました‥(^^;)
このゲームも、幼少の頃に交わした何気ない約束のために
主人公が別の世界に行ってしまい、
恋人(ヒロイン)と別れ別れになってしまいますが、
残されたヒロインは「必ず帰ってくる」という
主人公との約束をひたすら信じて待ち続ける、
という感じのストーリーでした。
世界観が「その時は〜」と似ているって感じですね。
このゲームを参考にしたということは‥無いと思いますけど(^^;)

  • 「一番だった人」と再会してしまうと‥

ストーリー的には以下のような感じですね。
小さい頃の夢をかなえて、ささやかな店を持っている
主人公・智之は、恋人・美咲とデートを重ねながら
結婚を意識しだしたりしていますが、
店に転がり込んできた鈴音(=花梨)のお陰で
環境に少しずつ変化が生じ始めます。
実は花梨は、出会った当時は気づかなかったものの、
智之にとって幼馴染で初恋の女の子、
初恋の女の子との再会とあれば、
忘れかけた思いに再び火がともってしまうのは、
至極当然って感じですね‥(^^;)
まぁ結果的にフラれてしまう美咲さんにも、
同じような「昔両思いだった彼」が登場しますから、
不幸にはならないのですが‥
この本の序盤は、上記のような感じで
まったりした雰囲気があり、個人的には好きでした。
子供の頃の、智之と花梨と
もう一人の仲間・佑司の(‥って同じ著者の
いま、会いにゆきます」の子供と同じ名前ですがな‥(^^;)
仲良しの3人が遊んでいる光景の回想シーンとか。
1人がいじめられたので、残り2人で敵討ちに行くところとか、
子供ならではの冒険って感じがして。

  • 主人公に共感出来たこともあって、面白かったです(^^;)

あと、主人公・智之のお父さんが
凄く良い親バカっぷりであり、存在感もありましたね。
恋に縁の薄い智之の心配をして、
お節介役を買いに出たりしていましたし‥
同じような子(孫)思い、という点で、
世界の中心で、愛をさけぶ」の主人公・朔太郎の
お祖父さんを思い出したりしました(^^;)
花梨(と花梨の姉)を夢の中の世界から送り返したのも
お父さんのお手柄って感じですね。
私の父親もこんな風に思っているのかな‥
なんて思ったりしました。
もっとも私は、父親からそんな優しい言葉を
かけてもらった記憶は今まで無いのですが‥(苦笑)
まぁ最近では実の親による幼児虐待も珍しくないですから、
こんな優しい父親は、
所詮は本の中だけの世界って感じカナ‥(^^;)
境遇や設定がよく似ていることもあって、
恋に不器用な主人公の智之に
自分を重ね合わせたりする事が出来たので、
結構面白く読む事が出来ました。
残念ながら私には、花梨のような
仲の良かった異性の幼馴染はいませんでしたけど‥(^^;)