「マンゴスチンの恋人」(はてな年間100冊読書クラブ 15/100)

マンゴスチンの恋人

マンゴスチンの恋人

  • 謎解き要素もある、ラブストーリー・連続4編

高校生が主人公の、4編のラブストーリーですね。
もっとも、4編とも普通のラブストーリーとは違って(笑)
レズビアンなど、「セクシャルマイノリティの恋愛」が
主テーマに置かれていますね。また、4編は、
「ある編の主人公が、別の編では脇役になる」
といった感じで、登場人物は、各編によって
主従は入れ替わるものの、基本的に同じです。
そして、「最初の編での謎が、次編以降のストーリーで判別する」
など、推理小説的な「謎解きというか、伏線の設定と回収」が
全編に渡って織り込まれているところも、
なかなか面白い構成だと思いました。
主テーマの「セクシャルマイノリティ」に
抵抗が無ければ、面白く読める小説かと思います。
小学館文庫小説賞」受賞も、なるほど納得という感じですね。

  • 娘を持った親御さんが読むと、共学よりも女子高派になるかも(笑)

共学の高校が舞台のためか、
男女とも盛りがついている時期だからか(笑)
登場人物は(基本的に)全員、
性に関しては開けっぴろげですね(笑)
私も共学の高校出身でしたけど、こんな雰囲気は
全くといって良いほど無かったですね(笑)
もっとも、無かったのは「私と私の周りだけ」
に限られていたのかもしれませんが‥(^^;)
モテる男子にとっては楽園でしょうけど(笑)、
共学の高校が、本書に登場するような雰囲気を持つようならば、
娘を持つ親御さんにとっては、通わせるのが怖くなりますね‥(^^;)
「ヤリチン」なんて言葉が、平気で飛び交っていますから(笑)
「やっぱ女子高のほうが‥」という感じになりそうです。

  • テーマの割には、共感して読むことが出来ました

登場人物としては、「男を寄せ付けない雰囲気のある生徒&先生」、
「学校一の美少女」、「美少女の友人」などが登場しますね。
過去のトラウマを抱えていたり、女癖の悪い恋人に悩んだり、
友達と自分を比べてコンプレックスを抱えたりしている
彼女たちの恋愛模様が、描かれていますね。
4編のうちでは、「恋人の女癖に悩む美少女が
冴えない男子との恋愛に落ちる」ストーリーが
良かったと思いましたけど、男性読者ならではの感想、
というところでしょうか‥(^^;)
「この美少女の友人」が主人公になる別の編では、
「友人」の、援交などその行動には
少し引いてしまうところがあるのですが、
「美少女の友人を羨ましく思うも嫉妬して、
ブランド物などを買うために、援交に走る」
という動機には、悲しくもあり、
また共感できる感じも、してしまいましたね‥
美人&イケメンに生まれなかった一人として(笑)
そんな感じで、「セクシャルマイノリティ」が
主テーマの小説でしたけど、意外に共感を持って
読むことが出来たという感じですね。