「プロ野球解説者の嘘」(はてな年間100冊読書クラブ 96/100)

プロ野球解説者の嘘 (新潮新書)

プロ野球解説者の嘘 (新潮新書)

  • 人目を引きつけるタイトルの、「羊頭狗肉」本

タイトルからすると、
解説者の色々な(いい加減な)発言を集めて
「解説者は、皆いい加減な非論理的な嘘を言っている。
その中で、もっとも嘘つきな解説者は○○だ」
といった内容を、期待しがちです。
そういった観点から本書を読むと、
少々期待はずれに終わってしまいそうですね。
本書の主な内容は、「著者が集計した(主に日本プロ野球の)
結果データを元に、検証を重ねている」というものです。
本書のタイトルに関する内容としては、
「まだまだ逆転は可能です」といった、
解説者の安易な発言を槍玉に挙げている箇所がある、
という程度ですね。
「人は見た目が9割」、というタイトルの
羊頭狗肉本をベストセラーに仕立て上げた新潮新書
この成功に味を占め、「書店で人目を引きつけるタイトル」
をつけることに力を入れているようですが、
この本もその類の一つ、と言えますね。

  • タイトルはダメでも、プロ野球ファンなら楽しめるかと

上記の通り、タイトルは羊頭狗肉ですが、
内容については、プロ野球ファンなら
なかなか楽しめる箇所もありますね。
首位打者本塁打王がいながら、
ダントツの最下位となった横浜ベイスターズの理由は?
→投手陣はもちろん、一・二番の出塁率が低かった
イチローが好成績を残すのに、
マリナーズはなぜ低迷するのか?」
→横浜と同じように、投手陣と下位打線が悪い
といった内容が、データを元に解説されていますね。
また、「阪神タイガースの勝利の方程式、JFK
については、「途中まで1点差でリードしていた試合の、
阪神の勝率が高い」こと、JFKに繋ぐ前の中継ぎも
好成績を残していたことなどがあげられています。
著者の個人的な見解ではなく、
データを元にした結論のため、読んでいて納得感はありますね。

  • データ分析に走りすぎて、意味の無い内容になっていることも‥

ただ、著者が好きだからでしょうが、
あまりにデータ分析に走りすぎている傾向もありますね。
例えば「(今後)4割バッターは誕生するか?」という章では、
過去に4割を記録した打者のデータを分析しているのですが、
これが、「ファウルをストライクと数えない」ような
ルールが現代と異なっている、大昔のデータなのですよね。
あまりに古いデータの上に、現在とルールまで違っていれば、
そのようなデータを皿上に持ち出して分析するというのは、
意味のある内容とは思えなかったりします‥
また、横浜ベイスターズイチローJFKのような
まだまだ記憶に新しい事例ならばともかく、
大昔の知らない選手のデータを持ち出されても、
正直あまり興味は湧かないですな‥