「百貨店戦国時代」(はてな年間100冊読書クラブ 86/100)

百貨店戦国時代 塗り替えられる業界地図

百貨店戦国時代 塗り替えられる業界地図

  • 少し前の本のため、時代遅れの感は否めないですが…

少し前に統合が加速した、百貨店業界について、
統合の経緯や今後の戦略などについて、書かれていますね。
まぁ、統合が進んだ(&本書が発売された)のは少し前の話なので、
今では少し時代遅れの感も否めないですが
(例:伊勢丹三越の統合について、
本書では新宿の競合が課題としていますが、
三越の新宿店(アルコット)は、閉鎖が決まりましたね。)
統合後の百貨店業界の業界地図について、
理解が進む本かと思います。

  • Jフロントは、松坂屋が大丸に教えを請う体制

主な内容としては、大丸と松坂屋の統合による
「Jフロントリテイリング」の発足についての
解説がありますね。
これは大丸の松坂屋救済に近いそうです。
著者によると、業績が低迷している松坂屋側が
大丸の教えを請う姿勢を示しているため、
統合は順調に進みそうことですね。
また、JフロントのCEO(大丸)の奥田務氏は、
トヨタ自動車元社長・奥田碩氏の実弟だそうですね。
兄弟揃って経営手腕が優れている、というのも
なかなか珍しいケースではないかと思います。)
奥田家の血が優れている、ということでしょうか。

  • 三越伊勢丹、一見理想的な合併ですが、プライドが邪魔する?

そして、Jフロントの発足の刺激された三越伊勢丹の統合
Jフロントの業界トップをすぐ追い抜いた、
インパクトの強い統合だったそうです。
三日天下に終わったJフロントが、切磋扼腕しているとか…(^^;)
若者に強い伊勢丹と、年配に強い三越
ここだけ見れば理想の合併に近いですが、
ただこちらは、「日本の百貨店の祖」三越のプライドが高く、
統合がスムーズに進むかどうか、微妙とのことですね‥(^^;)
また、三越伊勢丹が、それぞれ全国の地方百貨店と
共同仕入組織を立ちあげているため、
これを機会に、地方の百貨店や電鉄系の百貨店にも
再編が及ぶ可能性について、触れていますね。
例えば仙台など、伊勢丹と共同している地方百貨店(藤崎)、
その本拠地に三越の支店があるケースなど。

その他、結果的には孤高を貫き
業界トップの座を滑り落ちたものの
他店にはない全国網の巨大店舗を持ち、
合併しなくても暫くは安泰と思われるのが、高島屋だそうです。
また、リストラで不採算店の一斉閉鎖が進み、
セブン&アイホールディングス入りして体質が強化された
ミレニアムリテイリング(そごう&西武百貨店
などについても触れられていますね。