「消える大学生き残る大学」(はてな年間100冊読書クラブ 85/100)

消える大学 生き残る大学 (朝日新書)

消える大学 生き残る大学 (朝日新書)

  • 「消える大学ベスト10」といったリストを期待すると‥

本書のタイトルからすると、
週刊誌に掲載される記事のような
(中でも、「偏差値特集」とか毎年掲載している、
サンデー毎日」あたりが好きそうですね‥笑)
「10年後に消える大学ベスト10、
のリストが大学の実名入りで掲載されている」、
といった内容を想定しがちです。
しかし、実際のところは、
現在の大学が抱えている一般的な課題・問題点を、
分析した内容に仕上がっていますね。
タイトル的には「羊頭狗肉」の感を否めないですが
(最近、新書ではこの傾向が強くなっていますね‥)
本書の内容自体は、受験雑誌の編集者を経てきた
著者だけあって、納得できる分析ではないでしょうか。

内容的には、国立大学の課題として
法人化により競争原理にさらされ、コストの圧縮を図り、
研究が疎かになっていることは、よく知られていますね。
また、私立大学は生き残りに必死、
有力大学でも系列校の新設により、
生徒の囲い込みを図っている事例のが紹介されていますね。
(その中には、早稲田大学の、佐賀や関西における
系列校施策の失敗事例も紹介されていますね。)
公立大学では、「消える大学」の事例が取り上げられていました。
過疎地の「公設民営大学」や、医学系の単科大学などが、
「消える大学」によくあるパターンだそうです。
公設民営大学」は、民間側も「事業受託」気分ですから、
撤退という判断も、すんなりと下せてしまうのでしょうね。
迷惑を被るのは、母校が無くなってしまう卒業生、
というところでしょうか‥

  • 一生がかかっている受験生を、振り回すのは止めて貰いたいものです‥

その他、文科省法務省の連携不足によって、
新司法試験の合格率が「想定外」に低くなってしまい、
法科大学院が振り回されている様子も、描かれていますね。
場当たり的な政策対応は、どうにかならないものでしょうか。
振り回されるのは、一生がかかっている受験生ですからね。
「場当たり的」といえば、
本書には、歯学部の例も取り上げられています。
現在、歯科医が多すぎるから、
歯科医の国家試験を難しくして、
それと同時に大学の定員も少なくする、
という施策も、これに当てはまりますよね。
年代に偏りが出ないよう、はじめから計画の上で
毎年一定の範囲内に人数をおさめていく必要が、
あると思うのですが‥