「世の中の意見が〈私〉と違うとき読む本 自分らしく考える」(はてな年間100冊読書クラブ 75/100)
世の中の意見が“私”と違うとき読む本―自分らしく考える (幻冬舎新書)
- 作者: 香山リカ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2011/04
- メディア: 単行本
- クリック: 8回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
- 「しがみつかない生き方」の続編として、期待した人も多かったのでは‥?
「あくせくせず、自分らしくのんびり生きる」が持論の、
香山リカさんの著書ですね。
香山さんは、本書と同じ幻冬舎新書から
「しがみつかない生き方」という
ベストセラーになった本を出しているだけに、
それに続いて出版された本書に、
期待を膨らませていた読者も、
私も含めて多いかと思います。ただ、その内容は、
個人的には残念ながら、「本書のタイトルには、
あまり結びかない内容だったかな‥」という感じでしたね。
- 章毎にバラバラの例が取り上げられているので、飛躍感がありますね‥
その理由は、この本が、章毎に実にバラバラの
事例を取り扱っているから、だと思います。
例えば、第2章が「医者に倫理観を求めてはいけないのか?」
第4章が「ホメオパシーはインチキなのか」
第5章が「ITで人間関係がフラット化したのか?」
第6章は「内閣支持率は民意を反映しているのか?」
といった感じです。実に、章毎にバラバラの
事例を取り扱っているかが、解りますよね。
著者の香山さんが、自分に関心のある事柄で、
「自分の意見と、世の中の大勢の意見が異なっている」
ケースを取り上げ、「世の中の意見とは違うけど、
自分はこう考える」といった感じで、
展開されていっているが、理由だとは思いますが。
まぁ、「少数派になるのを恐れない、変節を恥じない、
安易に迎合しない(解らないときは保留する)」
といった感じで、全体を通して一本の芯は感じられますけど、
個人的には、扱っている内容の飛躍が大きすぎて、
戸惑うことが多かったですね。
- 医者の著者が、医療のあり方に疑問を持つ内容は、貴重かも‥
ただ、最終章の「その時私はこう決める」では、
著者の父親が死を迎える時の、
終末治療の様子が描かれています。
医者である著者父子が、いざ最期を迎えるにあたって、
患者の気持ちを無視する(ように思える)
終末治療に出会うことにより、
医者でありながらも、現代の医療のありかたに
疑問を持つ内容は、なかなか貴重だと思いますね。
著者にとってこの経験は、困惑と同時に
精神科医としての自らの治療方針にも
影響を与えているようですが、
この経験を是非、医療現場に
フィードバックして貰いたいものですね。
現場に近い著者なら、一般人よりも可能だと思いますし、
また、そうすることによって、
「人間の尊厳を大事にする医療」に繋がっていくと思います。