「官製不況 なぜ「日本売り」が進むのか」(はてな年間100冊読書クラブ 2/100)

官製不況 なぜ「日本売り」が進むのか (光文社新書)

官製不況 なぜ「日本売り」が進むのか (光文社新書)

  • 内容は幅広いですが、わかりやすいですね

主に「官=政治による、経済への悪影響」
=「官製不況」について解説している本ですね。
話題は、株価下落から年金問題
外資の抑圧まで幅広く展開しています。
新書本で幅広く展開しているだけあって、
個々の問題について深く掘り下げられてはおらず、
総括的な内容が中心です。ただ逆に、
「要点を短時間で把握したい」人にとっては
お手軽な本と言えるかもしれません。
著者お得意?の「ワーキングプア」についても
しっかり取り上げられていますね。
まぁワーキングプアの問題は、
利益追求の一心にて活動する企業側に
問題があるとは思います。
しかし、その企業側(経団連)と
しっかりと結託しているのが官ですからね。
これもやはり、「官製不況」の一要素でしょうか。

  • 「官」は百害あって一利無し‥?

しかしまぁ、こうしてこの本を読み通してみると、
官というものは百害あって一利無し、
と思えてしまいますね‥(^^;)
とはいえ、官の中枢は東大卒をはじめとした
優秀な連中で構成されている訳ですから、
本来なら愚策を立案・実施することなど、
あり得ないように思えるんですけどね。
そこはやはり、官側が自らの利権を重視して、
政策を歪めるところに原因があるのかな、
と思ったりしてしまいます。
例えば、郵政民営化道路公団の民営化が
見かけだけの民営化に終わってしまったこととか、
これは既存の利権を保持する勢力に対して、
メスが入れられなかった、ということですよね。

  • 官が活動に水を挿すケースも‥

また、姉歯秀次建築士による耐震偽装事件を受けて、
改正建築基準法が施行されました。
建築基準を厳しくすることは、
一面では建築関係には無知で弱い立場の
一般消費者の保護に繋がります。
しかし、現場をよく知らない官僚によって立案された
現場の実態にそぐわないような法律では、
不要なブレーキにより、活動が衰退してしまう
可能性も秘めていますよね。
この「改正建築基準法」によって、
住宅の着工が大幅に減少したことも、
官僚の思惑と現場の実態が
乖離してしまった一因ではないでしょうか。

年金問題については、これこそ官製不況
最たるものではないかと思います。
年金不安が個人の消費を手控えさせ、
個人が貯金に走ったり、子供を生むことを控えて
少子高齢化の流れを加速させていますからね。
年金問題はまた、社会保険庁も、とんでもないですよね。
データの保存方法がしっかりしておらず
消えた年金問題」を生み出したり、
支払者の大切な原資を勝手に使い込んだりしている
事実が判明しています。
返還する必要の無い税金ならまだしも
(って、税金の無駄遣いも問題ですけど)
いずれは支払者に還元しなければいけない
金保険料ですからね‥
ここは赤字財政問題と同じく、
「負担を後の世代に先送りする」姿勢が
透けて見える点かと思います。