「「食の安全」はどこまで信用できるのか」(はてな年間100冊読書クラブ 78/100)

  • 品質管理のプロが書いた「食の安全」本

インゲンやギョーザ、メラニンなど、
中国産の食品に問題が多発したのは
記憶に新しいところです。
一方で、中国産の食品に限らず、
日本産の食品においても、
最近では毒物や異物の混入が相次いで判明し、
話題になってしまっていますね。
本書は、そんな「食の安全」が脅かされている
現在読むのにまさに相応しい本、という感じですね。
著者は、食品業界で品質管理を長年続けて来たそうです。
そのベテラン著者が、「食の安全」問題について
現場の視点から書いた本ですね。
本書を読むと、「食の安全を規定する法律に不備がある。
その法律の不備を突くような形で、
食品会社が事実上やりたい放題やっている」
といった、現在の実態が見えてきますね。
食品会社も営利企業ですから、残念ながら
消費者よりも自社の利益を優先してしまいがちです。
この結果、安全性に問題のある食品の発生が
止まらないというのが現状なのでしょうね。

  • 賞味期限・消費期限にも、明確な基準無し

この本によると、賞味期限・消費期限については、
法律上は明確な基準が設けられておらず
「当該製品に責任を負う製造業者等が、
科学的・合理的根拠をもって適正に設定すべき」
となっているそうです。事実上製造業者が、
自由に決められるような状態なのですね。
私は食品を買うときには、
「賞味期限」・「消費期限」を参照することが多いのですが、
過信は禁物だなと実感しました。
以前問題になった「赤福」のように、
製造後に一度冷凍して、冷凍したものを解凍した日を
「製造日」扱いしている例もあったりしますから。

人間が口に入れる食品を製造する会社は、
まず何よりも消費者の安全を
第一にして欲しいところですね。
ただ、雪印赤福白い恋人など、
消費者を欺き、利益確保に走る企業が絶えません。
企業の自助努力に期待するのは、
現状では無理のようなので、
今のところは、上記にあるような法律の不備等を修正し、
法律によって消費者の安全を守るより
他は無いのかな、と思ったりします。
残念ながら、性善説よりも性悪説のほうが
実態により近いようですね‥
まぁ、余りにもコストダウンを求めすぎてしまうと、
メーカー側もモラルに欠ける手段に走ってしまいます。
人間の体に、命に関わる食の安全ですから、
メーカー側が適正利潤を確保出来るような
体制にすることも必要なのでしょうね。
その代わり、モラルに欠けた行為は
厳しく糾弾されるということで‥