「16歳だった―私の援助交際記」 (はてな年間100冊読書クラブ 119/100)

16歳だった―私の援助交際記

16歳だった―私の援助交際記

標題の通り、著者による援助交際の体験記ですね。
援助交際をする女の子は何をを考えていたのか、
ということがリアルに解る本だと思います。
「処女を捨てたい」と思っていた彼女は
思惑通りに恋愛関係にあった彼氏と
初体験をしたものの、その後は友達からの紹介などで
援助交際にのめりこんでしまいます。
ただ、著者が援助交際を繰り返すようになったのは、
単にお金が目的ではなく、一種のリストカットのような
自傷行為的なものがあったようですね。
自傷行為を繰り返す人がリストカットを繰り返すように、
彼女は援助交際を繰り返した、という感じですね。
高校生といえば、普通であればクラスメートの男子とか
気になるお年頃なのでしょうけど、
彼女の場合も男性からの評価が気になるあまり、
援助交際への道に走ってしまった、というところでしょうか。
そうして援助交際から抜け出せなくなってしまって
‥という展開ですね。もっともこれは実話なのですが。

  • お金を稼いでも、すぐ使い切ってしまう‥

先日(とはいってももう大分前のことですが)
TVの「アンテナ22」で見た「カラダを張った女たち」では、
貧しい家庭に育ち、風俗業でお金を沢山稼いで
実家に送金しようとしている女の子達が出演していましたけど、
この本の著者は違っているみたいですね。
お金を手にしても、すぐに全部使い切ってしまいます。
風俗業で働く女性達ほどは気持ちが割り切れずに、
「「自分を汚すこと」によって手に入れたお金が
手元にずっとあるのは気味が悪い」
といった感覚なのでしょうか。

そうしてお金を使うことにより、ブランド物のバッグや
服などが増えて、両親にも援助交際の事がバレてしまいますね。
しかし、著者の両親も、父母とも帰りが遅く、
また本を読む限りでは両方ともが浮気をしているような
内容も書かれており、両親が著者のことを
怒る資格はないような気がします。
著者が援助交際の道に走ってしまったことの一因に
両親の不和が会ったのではないかと思います。

  • 行為中の心理状態は一読の価値があるかも‥

援助交際について記した本なので、
本の中では実際の行為(笑)の様子も記載されています。
外人やらキモイ親父やら、色々出て来ますね。
おしっこを飲む親父とか‥
ここまで来ると一種のポルノ小説なのですが(笑)
ただ、そんな中で、著者の心理状況の描写は
読み応えがあると思いました。
「なるほど、援助交際をしている女の子は
行為中にはこういう心境をしているんだ‥」という感じですね。
もちろん、恋愛感情とかそういうものとは無縁で、
「ひたすら心を無にすること」が著者の心境だったそうです。
援助交際のセックスで感じてしまったことを
きっかけにして、著者は援交から足を洗った、
という事実は、それを証明しているって感じですね。